青春18きっぷ日本縦断【2025.8.8-8.12】

その他

概要

鹿児島県の枕崎駅から北海道の稚内駅まで青春18きっぷを使って(ほぼ)在来線で日本縦断したときの記録である。

行程表

8月7日(0日目)

スタート地点の鹿児島まではスカイマークを使った。神戸発鹿児島行きの便は、九州の荒天に揉まれて大揺れ。後方では子どもが泣き出すほどの揺れでも、自分は平静を装い、Switch2で「あつまれ どうぶつの森」。無事に鹿児島へ到着すると、外は土砂降り。明日からの行程に不安を覚えつつ、バスで鹿児島中央へ向かう。

ここから枕崎行きのバスに乗り継ぐまでの時間がほとんどなく、しかも枕崎には本当に何もないという噂。下手をすると晩ごはんがSUBWAYで終わる……そんな恐怖に駆られ、駅近のラーメン屋へ駆け込む。しかも「急いでいる方は遠慮なく」と掲げる神対応の店。ありがたくすすって英気を養う。

そのまま枕崎行きのバスに乗り、最南端の街へ到着。噂は真実だった。駅前には、写真のようなモニュメント以外、ほとんど何もない。港が何かを変えてくれるかと歩いてみても、やはり何もない。孤立したら終わりだな、という感覚すら覚える。

枕崎にあるモニュメント

最後に頼ったのはスーパー。これが大当たり。物価がとにかく安い。どん兵衛が106円、神戸では考えられない値札が並ぶ。地元オリジナル商品も気が利いていて、つい一つ54円の味噌汁を購入。ところが、その後「お湯、どこで入れるんだ?」問題に直面し、泣く泣く処分する羽目に。

この日は唯一のビジネスホテル泊。シングル6500円、安くて清潔。部屋ではJR九州の運行状況と天気をチェック。状況は半ば絶望的で、初日のゴールは新山口ではなく博多になりそうだという見立てまで出る。ようやく0日目が終了。いよいよ、波乱含みの1日目へ――。

8月8日(1日目)

朝起きて運行状況を確認する。想定していたうち1番ひどい状態はJR九州が運転「取りやめ」になることである。これはマジで詰む。計画が破綻する。2番目は最初に乗る指宿~枕崎線が運転「見合わせ」になることである。これもなかなかひどいことになる。しかし実際の状況としては、鹿児島中央~川内間が運転「見合わせ」でありなぜか指宿~枕崎線は通常通りに運行していた。まずは鹿児島中央へ。

鹿児島中央駅はまるで非常時。ホワイトボードが更新され、テレビクルーが構え、人波がざわつく。新山口まで届くかは半々――そう腹を括った矢先、駅員さんから救済策。「青春18きっぷは鹿児島中央〜川内のみ新幹線可」。3分後のさくらに飛び乗り、50分区間を11分へショートカット。反則気味のワープで、計画が息を吹き返した。

川内からは肥薩おれんじ鉄道で北上。シートでふんぞり返るくまモンに和みつつ、出水の食堂では価格に見合うボリュームの定食に撃沈。熊本、荒尾、小倉、下関…と拍を刻み、防府でフィニッシュ。夜は快活クラブ。個室なし、睡眠4時間。それでもルートがつながった安堵の方が勝った。

出水で食べた定食

8月9日(2日目)

早朝、防府からスタート。ひたすら山陽本線を乗り継いで、広島・岡山・姫路を通過。
姫路では駅そばを爆速で食べるも、舌を火傷するという痛恨のミス(笑)。

えきそば

午後には新快速で一気にスピードアップ!米原から大垣、豊橋、浜松を経由して静岡へ。
静岡では浜松餃子を堪能。「普通の餃子と変わらないかも…?」と思いつつも美味しく完食。

浜松餃子

夜は東海道線で熱海を通過し、ついに東京へ。
一部メンバーは1000円課金してグリーン車に消えていった。
日付が変わる直前、秋葉原の快活クラブにチェックイン。

8月10日(3日目)

秋葉原の快活クラブで4時間だけ仮眠し、早朝に出発。
宇都宮・郡山・仙台を経由して、ひたすら東北本線を北上。

上野駅にある啄木の歌碑

仙台では40分の休憩でうどんをサクッと食べ、さらに盛岡へ。
ここから先は青春18きっぷが使えない区間があるため、切符を買ってIGRいわて銀河鉄道へ。

IGR線
花輪線

夜、大館でモスバーガーを食べて時間を潰した後、快速に乗って青森へ。
到着後は久々の温泉に癒された。

8月11日(4日目)

午前2時、青函フェリー(はやぶさII)で函館へ。運よく「ドライバーズルームB」というベッド付きの部屋を確保でき、ネカフェ続きの疲れをここで回復。

青函フェリー

函館に着いてからは、まさかの超満員のローカル列車で長万部へ。結局、函館から長万部まで約2時間半立ちっぱなしだった。

森駅

長万部では名物「かにめし」と森駅で買った「いかめし」を堪能。ゆるキャラ「まんべくん」に襲われるという謎イベントもありました(笑)。

目が怖いまんべくん
長万部の砂浜

その後、小樽・札幌を経て旭川へ。夜は銭湯&カラオケで疲れを癒しました(?)。

8月12日(5日目)

いよいよ最終日。旭川から稚内行きの普通列車に乗り込む。
この列車は1日2本しかないため、座れなかったら地獄。早めに並んで無事ボックス席を確保しました。

名寄を過ぎると、一気に人家も減り、ひたすら原野の中を走る列車。途中の美深では40分以上停車し、みんな写真を撮ったり散歩したりしていました。

美深駅
勇知~南稚内の車窓

そして正午、日本最北端の駅・稚内に到着!
枕崎駅と対になる「最南端・最北端」のモニュメントを前に記念撮影。

その後はレンタカーで宗谷岬へ。海の向こうには樺太がうっすら見えました。
最後は稚内空港から新千歳経由で関西へ帰還。

宗谷岬

おわりに

実際に旅が始まってからは、鹿児島で運休を食らって開始早々出鼻を挫かれ、「運が悪いな」と思っていたが、そこから先は運休や大きな遅延もなく、運よく計画通りに北海道までの3000キロ以上の道のりを踏破することが出来た。

改めて、日本の鉄道の時間の正確さを実感した5日間だった。海外でこんな企画をやったら計画書なんて意味を為さなくなるかもしれない。

もうひとつ強く感じたのは、「日本は小さいな」ということである。海があり山があり、暑い地域も寒い地域もあり、広く感じるがいざ端から端まで行ってみようとすると、鈍行だけでもたったの5日間で行けてしまうのである。意外と狭い。そしてあっという間だった。

しかしこの狭い国土に、これだけたくさんの文化やモノ、そしていろいろな景色が詰まっていると考えると、日本の美しさを改めて感じさせられる。

建物の密集する東京のような大都市も通り、北海道の無人地帯をディーゼルカーで通過したりもした。西日本と東日本では雰囲気も異なるし、方言も違う。

今回の企画は、日本各地の違いや風土、面白さを実感できるような、そんな旅であったと思う。