石鎚山雪山遠征【2024.11.30-12.1】

登山

11.29

24:30に六甲に集合し、レンタカーで登山口まで移動する。事前に睡眠をとってから集合場所に行くか迷ったが、レポートやらないとな…などと考えながら雑務をしていたら、寝る時間などなく、そのまま集合場所に向かった。しかし、いつもなら寝始めている時間。睡眠が大好きな私は、集合の時点で既に眠い。申し訳ないが、最初は運転できなかった。部室でアイゼン、ピッケル、ヘルメット、念のためのワカン1つを用意し、車に乗り込む。 今回の遠征の良いところは、全員が免許を持っていることだ。免許を持っている人が少ない夜間移動の際は、事前に睡眠を十分とってから行くことをお勧めする。淡路島以降は記憶がなく、気づくと愛媛のコンビニに着いていた。
さすがに運転を任せきりは申し訳ないため、ここで運転を代わり、登山口までの運転を決意する。なんてことはない田舎道。これなら大丈夫そうだと運転していると、いつの間にか、道は細く、暗くなっていた。んんん?これ、両端溝じゃない?見間違いじゃないよね?車一台がやっと通れるような細さの道を教習所のクランクを思い出しながら運転する。ぱっちりと目は覚めた。道路なのか、溝なのか、落ち葉なのか、岩なのか、暗く細い山道では、全く見分けがつかない。ノロノロ運転で進んでいると、途中で雪道に変わる。しかも、登山口まではまだ20キロほどあり、絶望。この後も進んでいくと、ある場所でスタック。バックはできるが、前にはどうしても進めない。協議の末、この道は引き返すことにし、ロープウェイを利用しての登山に変更する。今回の車はプリウス+スタッドレス付きだったが、雪の坂道には勝てなかった。やはり、あの道を行こうとしたら、四駆が必要だ。積雪が予想される道で登山口まで行く+帰るためには、四駆+スタッドレスを強く勧める。滑って、登山前に事故でも起こしたら、目も当てられない。今回は使わずに脱出できたが、スタックでどうしようもなくなった時には、バスタオルを二枚用意し、前輪にかませると脱出できるらしい(実績あり)。万一の際は、車に汚れてもいいタオル二枚を積むことを忘れないでいただきたい。引き返してロープウェイの駅までは、特に難所はなかったと思う。

ここでスタック。この先は轍も無かった。

11.30

目覚めると、ロープウェイ乗り場付近の駐車場。8:40の始発に乗るため、爆速で支度し、何とか乗り込む(8時過ぎに目覚めた)。山頂の駅に到着し、室内で準備する。予想に反して駅の時点で結構積もっており、初めからゲイター、アイゼンの装備を決意する。しかし、なにせ普段の練習もない探検部。アイゼンの装着に戸惑い、もたもたしていると、次発のロープウェイに乗ってきた人たちに抜かれた(そして、たぶん最初の方はアイゼンなくてもよかった)。面目ない。だが、気にせずに出発。レースでもないのだから、焦る必要はない。しばらく歩くと、成就社に到着。道中の安全を祈願し、再び出発。ここまで、特に問題はない。道中の私のひそかな不安は、防寒着がほかのメンバーに比べて少ないことだった。ウールのベース+長袖シャツ+ペラペラのダウン+薄いアウターが今の私のウェア。残りはフリース1枚とレインコートしかない。当日は風速10m以上の予報だった。風速1m=1℃低下のため、単純計算で「気温-10℃」以下。やばい。「凍傷」の2文字が頭に浮かぶ。メンバーには9枚のウェアを持ってきた人もいるというのに。しかし、万単位でお金が飛ぶダウンを即決で購入できるほどの度胸は私にはない。どなたか、冬山に行く際のおすすめのウェアがあれば教えていただきたい。…しかし、意外にもここまで木々に囲まれ、寒くなかった(何なら暑くてダウンは脱いだ)ので、この調子なら何とかなりそうだと胸をなでおろし、さらに進む。

やる気十分
晴予報だったのに…

途中、「あれ、今日ってもともと晴予報だったよね?」などと思いながら、全く晴れる気配のない空を見上げ、頂上での景色を想像し、軽く絶望。その後も歩いていくと、途中で先頭集団に追いつく。しかも、なぜか異常に遅い。どうやら、既にトレース跡がなく、ラッセルをしながら進んでいるようだ。この調子だと、帰りの最終便17:00発のロープウェイに間に合うかも怪しい。そこで、私たちがワカン(輪かんじきの略らしい)を装着したのち、先頭に行くことにした。雪質がパウダー状なので、スキーをするには最高だが、これを歩くとなると、踏みしめても踏みしめても沈んでしまい(毎回膝くらいまで沈む)、まるで蟻地獄にハマったかのようである。先頭でのラッセルもしてみた。景色はいいものの、より一層しんどい。100mが10kmのように感じる。メンバーの中では体重が軽い私でも結構沈んだので、ほかのメンバーはさらに大変だっただろう。荷物の多い元紀くんはとてもしんどそうだった。景色も全く見えず、何個目かの休憩所まで来たときは、ここを私たちの頂上としてもいいのではないかと本気で思った。しかし、「ここまで来たのに頂上に行かなかったら後悔しますよ!」と康太くんからの説得を受け、重い腰を上げて計画敢行を決める。この時点で時刻はたしか12時前(もしくは13時前)。このまま進めば最終便には間に合いそうということで、ワカンを付けた康太君を先頭に進む。ワカンを付けた先頭者(ワカンでも沈む)+ワカンなしで、結構沈む2番目は体力の消耗が激しい。2番目は交代しやすい(ワカンは付け替えが大変)ので、順番を変えながら進む。普段なら嫌いな道中の階段も、あまり沈まないという理由で今回はとても好きになった。

ワカンを見つめて。
私はつけ方知らない。がんばれ。
踏み跡がなくて綺麗

そんなこんなで、なんとか山頂に到着。「石鎚山」を示す看板はすっかり雪に覆われていたが、それを払うと、きれいな文字が浮かび出てきた。さすがに山頂は風が強く、この世の恨みつらみがすべて自分に向けられているかのように感じたため、写真だけ撮り足早に撤退。ゴーグルを持ってくるべきだったと後悔した。また、案の定、眺望は0に等しく、ここのところしばらく山頂からの景色を楽しめていないので、少しショックだったが、達成感がすごいので、あまり気にならなかった。

撤退前に、そういえば、石鎚山で検索して出てくる、あの有名な岩場に行ってないな…などと思ったが、もうこれ以上登る気力はない+風強すぎたので、何も言わずに引き返した。
帰り道、数名の登山客とすれ違う。彼らは山頂で一泊するらしい。荷物は重いようだが、私たちがトレースを付けたため、少しは道もマシになっているだろう。あんなに寒い山頂、夜間はさらに冷えるだろう。私は泊まりたくないな、と思いながら会話をしていると、天狗岩のことを聞かれた。私はピンと来ていなかったが、どうやら、山頂のあの有名な岩場のことのようだ。彼らとすれ違った後、少しして、康太くんが、「天狗岩って、山頂のことなんですよね。僕らが行ったのは、本当は最高点ではなくて、その数十メートル下です」とボソッと言っていた。…あ、やっぱり?なんとなく感じてはいたが、雰囲気的に最高点獲ったど感がすごかったので、特に何も言わずにおいた。もしかしたら、みんな知っていたが、士気を下げないよう、まるで頂上まで行ったかのように振舞ってくれたのかもしれない。
その後は、永久にも感じられる長い帰り道を引き返し、何とか成就社に到着。宿をどうしようかなどと相談し、愛媛の西条付近(広島出身の私は、西条=広島を連想するので、念のため県を記入)で取ることに決めた。成就社まで帰り、すっかり登山終了だと感じていたが、成就社からロープウェイまでの道のりは思った以上に遠く、体感雪道20kmほどを進んで、なんとかロープウェイの山頂駅に到着。ゆっくりして、16:40発の便で帰った。登山後の温泉は最高で、寒くて行動食をろくに食べなかったこともあり、夕食もとてもおいしく感じた。
愛媛は、お遍路の影響もあってか、3000~4000円代の安い宿が多い。Airbnb(綴り怪しい)で17時過ぎに取った民家に着くと、まるでホテルかのように布団が敷かれており、当日遅い時間にもかかわらず、親切にしていただいて、頭が上がらない。民家は、いわゆる田舎の一軒家という感じでしっかりと広いし、エアコンやテレビ、食器もついていてすごく快適だった。だが、疲れ果てていたので、9:30という小学生のような健康的な時間に就寝。男性陣は車でマックまで行き、さらに飲んだり食べたりしていたようだ。

12.1

7時頃に起床。筋肉痛もなく快適な目覚めだった。朝食を楽しみにしていたミカンは、前夜のうちに他のメンバーによって食べられていた。
快晴の空の下、10時にチェックアウトし、昼食のために丸亀へ移動した。うどん店では、小サイズが1玉、並が2玉という表記に驚きを感じた。支払い時にPayPayの残高が不足していたものの、現金で無事に支払うことができた。
その後、倉敷へ移動し、日曜日の13時という時間帯で混雑する美観地区を訪れた。商店街では大原美術館収蔵の絵の模写イベントが開催されており、青い絵が多く飾られていた。大原美術館は閉館間際だったため、代わりに入場料500円の大原氏の生家を見学した。紅葉の美しい庭園を楽しみながら、将来の成功について語り合った。
帰路の途中、備前焼のお店で、「最近クライミングで死亡例が相次ぎ、閉鎖するクライミング場があるらしい。親不孝だけはしたらだめだよ」と店主のおじさまに諭される。部活名など言っていないのに、探検部の雰囲気をわれわれから感じ取ったのであろうか。カフェで一服した後、部室へ戻り、長い遠征を終えた。

反省

・深夜出発時は、事前に睡眠をとるべき
・雪道は四駆+スタッドレスが必要。スタックする。(…が、おそらく、この条件が探検部で満たされることはないだろう)。バスタオル2枚は持っていこう
・トレースがないと結構しんどい
・ワカンが役立った。備えあれば憂いなし。(人数分あれば、一番良かった)
・宿は、もう少し早めに連絡すべき
・登山時は、現金も多めに持っていこう