1日目
早朝に出発し、9時半ごろに出発地点である熊野古道館(滝尻王子)に到着。滝尻王子に車を置き、休憩がてら熊野古道館に立ち寄ると店内は意外と賑わっており、かつて熊野古道をかよった人々が身に着けていた着物、笠、下駄など展示してあり、なんとレンタルもあった。昔の人達はこの山道を下駄で歩いていた、ということだけでも大変感激である。


トイレ休憩を済ませたのち、いよいよ40kmに及ぶ熊野古道の旅がスタートした。
しばらく歩くと、途中の展望台で若いころから何度も熊野古道を歩いているというおじいさん(恐らくガイドさん)に遭遇。むかしはこの40kmの道のりを1日で突破したという。じいさんすごいね…
おじいから蜜柑の飴ちゃんを頂戴し(ありがとうございます)、再び歩き始める。
いやはや、インバウンドの多いこと多いこと。みんなよくこんなところまで来るなあ…と驚き。海外のガイドブックだとどんな風に紹介されているのだろうか。


しばらく歩くとまた別なガイドさんに遭遇した。ここの樹はみんな生きているよ、とガイドさんのお話。実際に歩いていると、本当に神様が住んでいるかもしれないと感じられるような、荘厳な雰囲気を持った熊野の森。何百年もの間、数多くの人々がかよった道を自分も踏みしめている。それだけでも感慨深い。
途中何か所かの展望台で景色を眺めつつ、やがて近露王子へ。
山深い土地に急に現れる小さな盆地。そこにある町が近露である。Aコープ(スーパー)などもあり、民家も多い。

この日お世話になったのは、ゲストハウスなかの。チェックインより少し早めに到着し、待っていると民宿のおばちゃんが登場。当初の時間より早めに中へ招き入れてくれた。
どうやら今日のお客さんは我々だけではないらしく、もう1名外人のお客さんが登場。数名で料理を進めている間、交代でお風呂に入る。
全員入り終えて、僕が最後に上がってくると、外人さんと探検部の皆で楽しそうに夕飯を食べているではないか。
やばい…!俺英語しゃべれないぞ……。
初手で大変拙い自己紹介をしてしまったものの、先輩たちの力を借りながら段々外人さんとコミュニケーションが取れてきた。
彼はイタリアから来たそうで、今回が初来日だそう。
2日目
時刻は5時半。アラームが鳴るも、まさかの起きられず。速攻で手を伸ばしてアラームを止めたような記憶が微かにあるような、ないような。
寝坊して結局6時前に起床し、ドタバタしているとミスターイタリアを起こしてしまった。ごめんなさい。
準備を済ませ、食堂で朝ご飯を詰め込みながら今日の予定についてしばしの会議。
今日は昨日よりも長い、20kmオーバーの道のり。おまけに雨も降ってるし、きっと大変に違いない…
朝ご飯を食べ終え、真っ暗の中6時半頃に出発。ヘッ電を忘れて来てしまったので、周りの人に照らしてもらいつつ、慎重に前進。
しばらく歩くと、先に宿を出ていたミスターイタリアの姿が。少し景色の開けた場所で、霧深くまだ薄暗い山々を望みながら佇んでいた。こりゃあ神様の何人か居たって驚かねえな…。そう思えるような、幻想的な眺めであった。

そこから先は、終点に近づくまでひたすら雨の中の行軍が続いた。
全身びしょびしょ状態での歩行は流石に身にこたえたが、雨天と霧で白く曇った熊野古道はまた神秘的で、まさにもののけ姫の世界のよう。神様もいるかもしれないけど、お化けも出るかもしれない。一人だとだいぶ怖いかも、というような雰囲気であった。
紀の国(紀伊国)は、8世紀ごろまで「木国(きのくに)」であった。一説には、「雨が多く森林が生い茂っている」というのがその名の由来であると言われている。
この時はまさに紀の国を象徴するような、そんな様相であった。
歩き続けること約6時間。
本宮大社付近へ到着したころには雨もやみ、ついに山道を抜けて誰一人脱落することなく無事に熊野本宮大社へ到着した。

熊野本宮大社はヤタガラスを神使とする家都美御子大神を主祭神とすることから、境内にはヤタガラスの姿がたくさん。みかちゃんは金のヤタガラスの入れ物に入ったおみくじを引いていた。

無事に行程が終えられてありがとうございます…の気持ちで参拝し、
国内最大級の鳥居(こいつが意外に新しい)を見て、熊野川沿いをぶらぶらして12時半頃のバスに乗車した。
約1時間半、みんな車中で爆睡しつつ滝尻王子/熊野古道館に到着。
神戸へ戻る前に温泉へ寄ろうということになっていたので、お湯マジで無料になっていた白浜のマリオットホテルに向かうことになった。
露天風呂もありオーシャンビューで、晴れた日はきっと綺麗に違いないが、あいにくこの日はガスっておりほとんど何も見えず… でもやっぱり温泉というのは最強で、2日間歩き続けた体にしみわたる。寝ちゃいそう。
温泉を上がってフルーツ牛乳を飲み少々のんびりしたのち、神戸への帰路へついた。
総括
・ハイキングが楽しめただけではなく、宿でのイタリア人など、行く先々での人との出会いがあってとても思い出深い遠征となった。
・最終日は先頭を歩く先輩方と離れてしまったり、グループが分かれてしまう場面も多かったので、もっと体力をつけてきちんとついていけるようにしたい。
・登山ではない、こういった昔ながらのルートを辿っていくような遠征も楽しいと感じたので、今後自分でもそういった企画を検討してみたり、参考にしていきたいと感じた。