1日目
12月、新雪期の唐松岳へ雪山遠征に出かけた。
雪山には以前から興味があったものの、実際に登るのは今回が初めてである。登山自体も半年ぶりという状況で、正直なところ不安は大きかった。しかし、信頼できる先輩方と同行できる機会はそう多くない。今を逃すべきではないと思い、参加を決めた。
余談ではあるが、遠征費用を捻出するため、前週は試験の予備日を含めた5日勤務に加え、週末には合計18時間ほど立ち仕事をした。かなりきつかったが、約2万円でこれだけの経験ができたと思えば十分に価値がある。やはり山はコストパフォーマンスが良い。
出発前日に、登る山が唐松岳に決定した。当初は荒島岳を予定していたが、「せっかくなら雪がしっかり積もっている山へ」という判断で変更となった。
12月12日の夜に出発。自分は授業の関係で途中合流となり、大阪で車に乗せてもらった。ここで関学探検会の部員と初対面となる。他大学の活動に一人で参加する行動力には素直に感心した。アウトドア経験も豊富で、非常に頼もしい存在であった。
明け方前には白馬八方尾根スキー場に到着し、短時間の仮眠を取った。

6時半起床。
ゴンドラ乗り場にはすでに多くの人が並んでいた。リフトやゴンドラの運行終了が早いため、下山時刻を逆算して行動する必要があるとのことだった。

ゴンドラ、リフトを乗り継ぎ、いよいよ登山開始。
歩き始めてすぐに、雪山特有の厳しさを思い知らされる。足が深く雪に埋もれ、思うように前に進めない。体力にはそれなりの自信があったが、雪山は別物であると実感した。それでも先輩方は淡々と進んでいく。その背中は非常に心強かった。

八方池山荘付近で一度休憩を取った後、さらに高度を上げる。
しばらく進むと、スキーのトレースが途切れた。ここから先は誰も登っていない。リフト係の人が「今日は君たちが最初の登山者」と言っていたのを思い出す。

この状況で先頭に立った先輩は、急斜面にもかかわらず、迷いなくラッセルを開始し、道を切り拓いていく姿は圧巻だった。自分も一度ラッセルを試したが、あまりの大変さにすぐ交代することになった。

13時が近づき、リフトの運行終了時刻を考慮した結果、山頂は断念する判断となった。
しかし「行けるところまで行こう」と、さらに少し登った場所は視界が大きく開け、雪景色と青空が広がっていた。

初めての雪山登山は、厳しさと同時に大きな達成感を与えてくれた。天候にも恵まれ、本当に来てよかったと心から思えた瞬間である。後続の登山者に頼み、ピッケルを持って全員で写真を撮ったのは、この遠征の象徴的な場面だった。
下山後は温泉へ向かった。冷え切った体に湯が染み渡り、疲れが一気に抜けていくのを感じた。
2日目
最終日は松本城、松本駅周辺、大王わさび農園を巡った。
わさび農園では「幸せの赤いメガホン」が印象的だった。先輩方がそれぞれ思いを叫ぶ姿は、どこか微笑ましい光景であった。わさびアイスも予想以上においしく、良い締めくくりとなった。


振り返って
帰りの車中で聞いた「企画は行き先よりも誰と行くかが大事」という言葉が、今になって強く心に残っている。
振り返れば、この遠征は先輩方に支えられて成り立っていた。助けてもらった経験を、いずれ自分が後輩に返していければと思う。
非常に満足度の高い遠征であった。
——ただし、雪山はしばらく遠慮したい。
